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著書名 場の論理とマネジメント
著者名伊丹 敬之
出版社 東洋経済新報社
ASIN 4492521585
装丁 単行本
価格 ¥ 2,310

読後感想

概要:理論が理解しにくい
本文:場という言葉は日本語として、たいへん伝わりやすい言葉だと思う。はしがきに書かれているアメリカ型の経営をアメリカンフットボールのゲームマネジメントに例え、日本型の経営をラグビーに例え分かり易い内容と思って読み始めた。が、なんと読みにくい内容で頭に入ってこない。自分の集中力が欠如しているのか、頭が悪くなったのかと思って、頁の進まないことがいやになる程時間がかかってしまった。著者が紹介しているとおり、「場のマネジメント」「場のダイナミズムと企業」という2冊を丁寧に説明を付け加えたとあるように、やたらくどく文章が書かれている事と、使われている言葉が理解しにくく、文字を追っても何のことかわからない状態だった。
90年以降バブル崩壊後の日本において、米国の繁栄はうらやましい限りで、いろいろなことが米国流、米国流がグローバルスタンダードとして日本になだれ込んできた。人事制度においても、日本の人口構造の歪みである団塊世代が40歳を過ぎていよいよ管理職になり、企業の平均賃金が上昇し、不景気に突入した日本の企業の人件費を押し上げ、経営に危機をもたらす恐れから、年俸制、成果主義といったものが導入されていった。米国流の個人主義的な、できるものには多額の報酬、チームでなく個人の成果を評価する体質に企業は変化していった。そんな中で、日本の企業の良さが失われ、個人主義が台頭し、自分さえよければ、優秀な一部の社員とその他大勢という組織が増殖していった。その成果主義の導入失敗も各所で出てきた。このような状況は、アメリカンフットボールのクオーターバックというリーダーに使える、その他選手たちという感じで、一人のホワイトカラーとその他ブルーカラーという姿にぴったりあてはまる。その他ブルーカラーは頭は使わず、自分の限られた責任を言われたとおりにまっとうすることを期待されてしまったといえる。現場からの改善活動のようなものには成果を期待せず、優秀な一部の人間が仕組みを作ってそれを黙々と機械のように進めていく社会になってきてしまった。
ところが、サブプライムローンを発端にする金融危機は、一部の優秀といわれる人が金融工学を駆使して作り上げた仮想の世界であり、それが見事に崩れ落ちたものである。私の仕事柄、銀行の方からのデリバティブ商品の売り込みに遭遇することが多々あるが、説明する銀行員も仕組みがどうなっているのかわからないで売り込んでいる人ばかりいる。表面のお金の動きとメリット・デメリットだけで、本質が見えないものを数億円で販売する姿勢も、米国スタンダードに振り回された結果のようにも思える。
今回この本を読んで、場をつくった後のマネジメントが書かれていたが、マネジメントを使うことを知らなかったし、その機能さえも知らなかった。
感覚的には場をつくることの価値は認識していたが、その場が本当の意味で成果を上げる手段を知らなかったために、十分な成果を上げることができなかった。
私は個人的な趣味で、サッカーをよく観戦に行くが、選手間の連携は日々の練習の結果が試合で発揮されている。練習試合などでは観客も少なく選手同士の声が届いて、コミュニケーションがとられているが、リーグ戦ともなればサポーターの熱い声援が選手同士の声など消し去ってしまい、コミュニケーションをとる手段は身振り手振りだけとなる。しかし、選手はチーム全体が一つの体のように神経が行き届き、お互いにフォローし合う動きをして、試合を運んでいく。当然、連携が上手くいったときには得点という結果が生まれチームは勝利を得ることができる。
当社も、サッカーチームのような連携ができるよう、場を作り、場のマネジメントを実施していきたい。


概要:関係性に注目してみると
本文:情報の受け手である個々の従業員でもなく、情報の独占者であるマネージャーでもなく、その間にある「場」に注目して、情報を共有し還流させる方法を考えている。個々の要素ではなく、要素間の関係に注目して論考を進める手法は、大体において、還元主義的手法が行き詰まったときに流行するのだろうが、本書もその流れに位置づけことができるのだろう。いまひとつ切れがないが、発想の転換のヒントになる。

概要:「日本的経営」の普遍化への挑戦
本文: 「組織は戦略に従う」(チャンドラー)というのは経営学の基本的な命題の一つであるが、本書は、この言葉に象徴される「ヒエラルキー・パラダイム」に挑戦し、これを乗り越える日本発のパラダイムの発信を目指している。
 著者の伊丹氏はその経営学者としての経歴の出発点において「人本主義経営」という概念を提示したことで知られるが、「人こそ資本」という日本的経営の本質についての考察を発展させ、成功する経営の根幹に、人がヨコに連携し、情報をやり取りする中で新たな方向性を創り出して行く「創発」の作用があることを主張し、本書においていわばその集大成を試みたものと言える。
 「場」という考え方は「組織(特にピラミッド型組織)」の対極にある考え方であり、そのようなものに経営の本質を見ようとすることは、「経営者」或いは「マネジャー」の役割を放棄するものではないかという指摘が容易に予期されるが、著者は、「場」の設定、運営とそこから出される結論に対する承認における「経営者、マネジャー」の重要な役割を本書において繰り返し、また、具体的に提示する。
 本書において示される「場」のイメージはまことに魅力的な概念であるが、問題は、現実に存在する企業において、そこでの「場」が有効適切なものになっているのかどうかを、どのようにして知ることができるのか、という点であろう。
 恐らく著者の意図としては、客観的な計測が可能な概念として「場」を定義するのではなく、「経営者、マネジャー」が自らと自らの組織を省察する際の、概念上の道具として「場」の概念を提示したのであり、そのようなものとしてこの概念を使って貰いたいというものであろう。

概要:これまで表現されなかった経営の勘所を見事に表現
本文:「場」(ば)って何でしょう?

「場違い」「場作り」「場慣れ」「場を読め」。日常生活の中で、「場」という言葉を使っていますが、さて「場」自体を説明しようとするとなかなかうまく表現できません。

一方、経営、組織運営も人が絡むだけに、「こうすればこうなる」というように予測可能な単純なものではありません。「経営はアートである」といわれる所以です。

この経営に「場」という概念を持ち込むことによって、著者は今まで言葉で表現できなかった経営の勘所を物の見事にわかりやすく説明することに成功しています。

本書は「場」、そしてそのマネジメントについて、順序立てて説明していて、とても読みやすい内容・構成です。また、場のマネジメントが持つ弊害にも触れられており、バランスが取れています。経営者、管理職はもちろん、現場社員が読んでも多くのヒントが得られる本です。

ただ、取り上げられている事例が少し昔のものが多いのが残念です。大部屋制度、フェイスツーフェイスの重要性への強調が目立ちます。急速に普及するコンピュータ、ネットワーク環境が「場」に大きな影響を与えていることは間違いなく、それに対する言及や新しい企業での研究成果が欲しかったところです。

本書を数多くの人が読まれ、それを実際の組織運営で実践、検証することが強く望まれるところです。それによって初めて「場のマネジメント」に魂が吹き込まれ、日本から世界に発信することができるでしょう。

著書名 街場の教育論
著者名内田 樹
出版社 ミシマ社
ASIN 4903908100
装丁 単行本
価格 ¥ 1,680

読後感想

概要:格好の教育入門書(あくまで入門書)。
本文:ブログ上で社会問題について
独自の論を綴り、有名になった(らしい)
内田樹氏の「街場の…」シリーズの新刊。



文章はかなり平易で読みやすい上、
教育問題は(筆者を含む)知識人にとって、
無責任に物を言いやすい領域だとする
本書独自の主張が本文全体で貫かれており、
その点ではとても興味深い一冊ではある。

ただし、この点を加味したとしても、
筆者の専門が教育というわけではない
(彼の専門はフランス文学らしい)ためか、
教育そのものの分析がやや浅い印象はぬぐえない。
特に後半の国語教育論は読むに耐えない。


なので、
教育問題を考えるとっかかりとして読み、
その上で他の教育書を読むのが、
この本のベストな読み方ではないかと思う。

概要:教師たちよ、これを読んで元気になろう!
本文:「教育改革の主体は教師」のくだりに共感。
保護者には「教育を受けさせる義務」がある。法律が変わってもそれを支えるのは現場!
政治家がなぜ教育改革をめざすのか、著者の論理は明解であり痛快である。
悩める教師たちにこれを読んで元気になってもらいたい。

概要:もちろん面白い、けど鵜呑みは禁物。
本文:いつも通りの内田節。好きな人は好きでしょう。
初めて読む人も、そうそうとうなずくところはあるでしょう。
話の切り口に惚れ惚れする人もあるかもしれません。

ただどうだろう、その道の専門家が読んだら、
おいおい……と思うところもあるのではないでしょうか。
力不足で論破するには至りませんが、
ある章で「おや?」と思うところがありました。
読み物としては面白い、けれどそう批判的に書いたところで、
何のために? 誰のために?

話しことばにけっこう近いので、読み続けていると飽きる、
また納得できない内容であると反発したくなる、というところがあり。
この文体である以上、しかたないのかもしれませんが…

概要:礼にはじまり霊に終る
本文:いま教育行政に市場原理が導入され、合理性、契約とその履行、投資対効果の明快さなど、ビジネスのコンセプトの導入が求められている。著者はそれに抗して、矛盾や首尾不一貫、曖昧さや複雑さを積極的に擁護する。そこから、子供たちは学んでいくのだ、と。孔子の時代から師弟のコミュニケーションの中にしか教育はない。あらゆる優れた師は「私には偉大な師がいた」と弟子に語り、教育の起源を追跡不可能な形にして、弟子にブレイクスルーを促す。より大きなものを感知し、そのわけのわからないものとコミュニケーションをはかるという行為こそが学であり、師はその回路を開いてやるだけなのだ。礼とは葬礼のことで、死者とのコミュニケーションである。存在しないものとのコミュニケーションが、全てのコミュニケーションの原型にある。私たちは不在のものが何を求めているのか真摯に耳を傾けなければいけない。


概要:素直に楽しめ、考えさせられた。
本文: 教育に関するエッセー、日本語の随筆ではなく、評論といったところでしょうか。現実にある場面を使用できる資源を有効活用して現状を可能な限り改善する方法以外に教育改善は、難しいという前提から出発しています。自分を含めて一般人は、現状が芳しくないときに教育に限らず劇的な変化を望む傾向にあります。しかしそのような方法や万能薬など無く、小さな改善の積み重ねしかないように思えます。
 また日本では教育費が高いので、教育に費用対効果を望む親も多いのではないのでしょうか。このような考え方に内田先生は、一石を投じます。極論してしまうとコミュニケーションに必要な道具と資源そしてそれを活用する方法を獲得することが教育で得られる成果と言っているように感じました。昨今、多くの勉強本が収入のアップ等に結びつけて考えられるのと対照的な内容となっています。
 最終章は、宗教教育ですが、政府が目指している宗教教育と本来の宗教教育の持つ意味の違いを明快に区別しています。宗教の持つ両刃の性格を見分け、適切な対応方法を身につける重要性は、著者と全く同意見です。

著書名 血烙―刑事・鳴沢了 (中公文庫)
著者名堂場 瞬一
出版社 中央公論新社
ASIN 4122048125
装丁 文庫
価格 ¥ 900

読後感想

概要:荒唐無稽
本文:このシリーズは書店のお勧めとあったので最後の「久遠」まで読みました。特にこの作品は海外物のせいか話が余りにも現実離れしていて正直読み物としてとても面白いとは思えませんでした。いくらアメリカの警察でもあそこまで乱暴ではないでしょう。主人公と恋人との馴れ初め、その後の人間関係の発展もなんだか不自然でありえない感じです。彼女がヒステリックで我欲の強い女性に思えて好感も持てませんでした。ヒロインとしてはちょっといただけない感じです。堂場さんのファンには申し訳ないのですが、登場人物も物語の展開もどうしても私にはついていけませんでした。彼の作品ではスポーツ物の「8」がお勧めです。大リーグに挑戦する中年の星の話ですがストーリー展開もそれほど無理が無く主人公の想いに素直に共感できます。

概要:異色
本文:シリーズ中、唯一この作品のみアメリカが舞台という異色の作品。勇樹や七海の存在がすでにマンガ的だが、話の展開もマンガ的。現実的な日本警察ものが好きなファンにはかなり辛い。

概要:筆者が好きなだけに…
本文:ストーリー展開やキャラクターがありきたりでつまらなかったです。
期待していただけにがっかりでした。

概要:相変わらずエグい!!
本文:鳴沢シリーズの第7弾です。

3作目『熱欲』で鳴沢の前に姿を現した、鳴沢の親友である七海と妹優美の両親の仇であるチャイニーズ・マフィアのトミー・ワンと再び衝突します。

アメリカのホームドラマでブレイクし、売れっ子となってしまった優美の息子勇樹がトミー・ワン一味によって誘拐されてしまいます。自分の「息子」を自分の手で助け出そうとする鳴沢は、NY市警で研修中の身であるにも関らず、1作目『雪虫』や5作目『帰郷』のときと同様に捜査を無視して暴走してしまいます。

「犯罪者の親族はどんなに肩身の狭い思いをして暮らしているのか?」
「犯罪者の身内も悪人なのか?」
「自分の家族を守るためなら何をしても許されるのか?」
「人間を商品として扱うマスメディアの対応は許されるのか?」
「事件の引き金はなんだったのか?」

この作品では決して簡単には答えられないこれらの疑問や問いがあふれていて、相変わらずエグいラストでした。私には1作目の『雪虫』のラスト(喜美恵との別れ)や、2作目『破弾』のラスト(冴との別れ)が思い出されて切なくなりました…

また、今作でも魅力的な相棒達が登場します。NYでは親友である七海と同僚のミックとジャック、アトランタでは市警に勤める旧友のB・J、マイアミでは探偵であり女好きのホセ。
不器用ながらも真っ直ぐで人を惹きつける鳴沢の魅力は国境を越えても、いやむしろ国境を越えたアメリカだからこそより一層際立っていたように思いました!


なんで1年しか留学していなかった鳴沢が流暢な英語を話せるのかだとか、常に鳴沢たちを翻弄し続けてきたチャイニーズ・マフィア達がなぜ最後の最後にポカをやらかしたのか、といった多少無理のある設定に戸惑いを覚えなくもありませんが、相変わらず魅力的な作品だと思いました!!

概要:ちょっとクオリティが落ちたかな
本文:ある意味突拍子もない話である。
その分、作品自体の雰囲気もやや壊れ、
ちょっと大雑把な感じが否めない。
何よりショックなのは、あの「今」が、警察を辞めたこと。
シリーズ最高の相棒をこんなに簡単に辞めさせないでくれ。
私はずっと「今」を最近人気のお笑い芸人芋洗坂係長のイメージで読んでいたのだが、
ああいうバイキャラは大事にして欲しかった。
勝手な思い入れだけど。
望む、「今」復活を。


著書名 熱欲 (中公文庫)
著者名堂場 瞬一
出版社 中央公論新社
ASIN 4122045398
装丁 文庫
価格 ¥ 900

読後感想

概要:シリーズのターニングポイントとなるような気がする
本文:暗い終わり方の前2作に比べ、今後に期待が持てる内容となっている。
とともに、このシリーズの終わり方も見えるかなっていう気がする。

私はこのシリーズの、恋愛部分が特に好きだが、
1作ごとに書き方がうまくなっていってるようだ。
一歩踏み出すか踏み出さないかというところが実にうまく書けていると思う。
この作品を境に、鳴沢が大きく変わるような気がする。


個人的に、このシリーズは、もう少し評価されてもいいんじゃないかなと思うのだが、
レビュー数も少ないし、やはり世間的にはいまひとつなのかなぁ。
ストーリーも面白いし、キャラもうまく立ってる。
ただ、売れているというか、評価の高いエンターテイメントと比べると、
主人公の台詞回しに物足りなさがあるのかなぁ。
私は、こういう口下手で恋愛下手な奴って好きだけど。


とまれ、900円と文庫にしては高めの価格設定だが、
読んで損はないシリーズだと思う。
ぜひ第一作から手にされたい。

概要:今回はちょっと救いようがある作品です。
本文:前作で、大切な親友を射殺しなければならず、心に大きな傷を負った鳴沢は、過剰防衛との疑惑から青山署の生活安全課へと左遷されます。

今回の事件はそこで起こるDVの相談とマルチ商法の捜査です。
刑事課とは違う捜査方法や被害者たちに戸惑いを覚えながらも、懸命に捜査をする鳴沢。

前作までの悲劇ばかりの話とは異なり、今作にはかろうじて救いがあります。鳴沢を理解してくれる直属の上司横山の存在、大切な親友との再会、そして大切な女性との出会い…


また、今作に登場する後輩刑事米山が人を射殺したときの気持ちを鳴沢にたずねるシーンは、前作『破弾』の鳴沢と冴のやりとりと重なり、彼女の心の傷も改めて考えさせられました。


今回の事件の裏で動く巨大な闇組織の存在はこれからの作品への布石となりそうで、さらに期待をさせてくれます。

前作から受け取ったバトンを次回作へときっちり渡しながら、この作品自体も詐欺師集団・マフィアの実態を警察の視点から丁寧に描いた素晴らしい作品です。

著書名 孤狼―刑事・鳴沢了 (中公文庫)
著者名堂場 瞬一
出版社 中央公論新社
ASIN 4122046084
装丁 文庫
価格 ¥ 900

読後感想

概要:このシリーズはなぜもっと評価されないのか。
本文:この作品は、鳴沢シリーズ第4作目にあたる。
4作目にして、初めて警察小説といえる作品に仕上がっている。
鳴沢と相棒以外の警察の人間の描き方にやや弱さが見えるが、
ここまでの4作のうち、一番面白い。
鳴沢の人間的成長・魅力あふれる相棒の登場・小野寺との再会などがきっちり描かれ、
申し分ない出来である。
ところが、
「このミス」で、本作品が発表された2005・2006年度を確認したが、
ベスト10はおろか、20にも入っていない。
発行年月日が2005年10月であることから、ランキングとしては2006年度
のものに載るはずであるが、ランクインしていない。
私が読んだ同年度のランクインした作品
(3位震度0、4位愚か者死すべし、6位シリウスの道、10位うたう警官)
よりもはるかに面白いにもかかわらず。
プロットが似ている「うたう警官(現笑う警官)」と較べても、こちらのほうがはるかに上。
まさに読んで損はない作品である。


2008年5月の時点では、このシリーズは、
「当店のオススメ」という派手な帯がかけられて、書店に並べられている。
帯と、本の出来があまりにも乖離している場合も多いが、
このシリーズに限っては、帯を信用してよい。
第一作から順に読むことをお薦めする。


ほぼ一月前に、「雪虫」を読み、
レビューではずいぶん辛口のものを書いたが、
今では、いわゆる「名前買い」できる貴重な作家の一人である。



概要:鳴沢、今の新コンビによるシリーズ過去最高傑作!
本文:鳴沢了シリーズの第四作目です。

今作も一作目『雪虫』、二作目『破弾』と同様に謎の事件、ユニークな相棒、捜査によって浮かび上がる組織(今回は警察の内部派閥)という構図は変わりません。

ただ横山巡査が言っていた「鳴沢了は一人じゃない」という言葉通り彼の周りには確実に信頼できる人間が集ってきています。私個人的には二作目『破弾』での相棒冴が再登場してくれたことが嬉しかったりします^^


それだけでなく、冴の過去の事件の真相や、鳴沢と父親との関係の氷解など今作にはたくさんの見所があります!

また、鳴沢が聞き込み先で相手の胸倉をつかむ、といったハラハラも減ってきて、刑事としての成長が伺えるのもここまでシリーズを読んできた読者にとっては、成長した子どもを見守る親のような(?)気持ちで嬉しく思えてしまいます♪

警察の裏組織により、鳴沢の恋人たちが危険にさらされる場面では胸糞の悪さを覚えますが、すべての伏線が一本につながり、最後に鳴沢がある人物に一撃をくらわす場面では、もう最高の爽快感です!!

ここまでの三作品を読んできた読者も、この作品だけを読む読者も決して読んだことを後悔させない最高の刑事小説だと断言します!

概要:堂場瞬一、そして2005年のベスト一冊!
本文: 以前ここアマゾンで『焔』を堂場瞬一の最高傑作だとしてレビューしたことがあったが、それを撤回しなければならなくなった。本書『孤狼』こそ、この作家の現時点での最高傑作である。
 刑事・鳴沢了シリーズをはじめ、堂場瞬一の作品には比較的暗さが漂うものが多く(とはいえ、どれも面白いのだが)、シリーズ第四弾の本書も決して“明るい”と言える話ではない。だが、警察内部の謎の組織との確執、誰が仲間で誰が敵かが見えない状況は、イギリスのスパイ小説の巨匠、ジョン・ル・カレの作品を彷彿させるものがあり、スリリングである。物語にぐいぐい引き込まれる引力は最後の一ページまで衰えることがなく、正月休みなど、まとまった休暇にはぜひともお薦めの一冊。

 2006年2月刊行予定の次作シリーズ第五弾『帰郷』がいまからすでに楽しみだ。


著書名 帰郷―刑事・鳴沢了 (中公文庫)
著者名堂場 瞬一
出版社 中央公論新社
ASIN 4122046513
装丁 文庫
価格 ¥ 800

読後感想

概要:鳴沢了に、はまったじゃねえかよ
本文:成沢の成長ぶりが際立つ作品。
作中、海君に対して、「俺も大人になったんだよ」という場面があるが、
まったくその通り。
刑事として、人間として、一回り大きくなった。
優美との関係も、以前だともう終わりにしていたかもしれないが、
前向きに打つ手を考えている。
このシリーズは、その成長過程すべてを見せるのではなく、
ポイントだけを書き起こし、多くを読者の想像に委ねている。
これについては、賛否両論があろうが、私はこのやり方でいいと思う。


星をひとつ減らしたのは、
・こちら側のハードルが上がったこと
・伏線の張り方が正直すぎて、なぞがわりとすぐにわかってしまうこと
が理由である。



概要:やっぱり素晴らしい小説です!
本文:鳴沢了シリーズ5作目です。

舞台は新潟に戻り、父親の葬式のための忌引の最中に巻き込まれた時効となった事件の私的な捜査です。

自分の父親を惨殺された正明と、そこから浮かび上がってくる彼の暗い過去…
正明の父への嫉妬などが入り混じる羽鳥の複雑な心情…

それらの話を軸に、新潟時代に親交のあった緑川や大西の再登場、父親の日記などで少しずつ父親への思いを改めていく了…近作は改めて人とのつながりの大切さを考えさせてくれる作品だと思います!

既に時効になった事件を捜査するという若干無理のある設定で、実際聞き込み調査などで歯切れの悪い鳴沢を見てしまい、また今回は魅力的な相棒もあまり登場しない(鳴沢の単独捜査がメイン)ので、今までの鳴沢了シリーズを読んできた私にとっては少し物足りなさを感じましたが、それでもやはりいい作品です!

また、亀裂、まではいかないと思うのですが今作では優美との若干の心のすれ違いがあるように思えました。もしかしたらこれも次回作への布石なのかもしれません。

解説では、これまでの鳴沢シリーズを丁寧におさらいしてくれていて、読む間隔があいてしまった方には非常に親切だと思います。堂場さんがサツ回りの記者をやっていたと書かれていて、とても納得!!次回作も楽しみです!

概要:シリーズの転換点的な一冊
本文:刑事・鳴沢了シリーズの第5作。第1作の『雪虫』以来続いている物語の転換点とも言うべき小説。謎解きの面白さもさることながら、主人公の心の大きな変化と成長を描いている点で重要な一冊である。

本作の解説で書評家の直井明氏が指摘しているとおり、シリーズものには<サーガ>を読む楽しみがある。例えばその直井氏が世界的なエキスパートであるエド・マクベインの「87分署シリーズ」しかり、あるいはストックホルムを舞台とするマイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー夫妻の「マルティン・ベック シリーズ」しかり。そのような点から考えると、本作は鳴沢了シリーズにおける<サーガ>性を本格的に浮き彫りにした作品として捉えられる。

これまでに本シリーズに親しんできた読者にとっては必読書である。

著書名 久遠〈上〉―刑事・鳴沢了 (中公文庫)
著者名堂場 瞬一
出版社 中央公論新社
ASIN 4122050863
装丁 文庫
価格 ¥ 800

読後感想

概要:超豪華オールキャスト
本文:

著書名 讐雨―刑事・鳴沢了 (中公文庫)
著者名堂場 瞬一
出版社 中央公論新社
ASIN 4122046998
装丁 文庫
価格 ¥ 900

読後感想

概要:シンプルかつ重い、鳴沢シリーズ第6弾!
本文:情景描写…登場人物の心情を天候や風景、周りの様子によって表す小説の技法

この作品では常に雨が降っています。
私たちの周りにじとじととまとわりつき、言いようのない不快感をもたらす、あの雨です。
この雨が本作のなかでどんな意味を表しているのか、なぜ『讐雨』というタイトルなのかは、小説を読み進めていけばわかるでしょう。

この作品は、連続少女誘拐殺人犯逮捕とその帰り道に鳴沢が巻き込まれた爆弾事件から始まります。
第一章は作品の魅力(=事件の深刻さ)を存分に読者に伝え、第二章では事件に横たわる謎が少しずつ解き明かされていき、そして第三章ではスピード感のある事件の結末に至ります。

シンプルな構成で読み易いなかにも、どっしりとしたテーマの重さが伝わってきて、非常にいい作品だと思いました。
今回、鳴沢とタッグを組むパートナーは複数おり(聡子・石井・井崎)、今まで作品で見られた鳴沢の単独行動はあまり見られませんが、それでも彼の生き様が伝わってくるし、事件を扱うチームの中で奮闘する新しい鳴沢了が見れます。

そういった意味では、これまでシリーズ5作品を読んで来た読者にも決して読んで損はさせないし、鳴沢の魅力を再認識できる作品になっていると思います。

…さて次回作はレビューを見る限り、評判はあまりよくないですが、どうなることやら^^;

概要:「面白い」とだけコメントしたい。
本文:ちょっとレビューが書きにくい作品。
なぜかは、読んでのお楽しみ。
ただ、言えるのは、
鳴沢了は、すごく成長しているということ。
2008年に読んだことで、いろいろ考えることが多い作品。
シリーズものであるが、この本に限っては、単体で読んでも十分だと思う。

概要:またもやハードボイルド!
本文:刑事 鳴沢了シリーズ第6弾。
私の超お薦めシリーズだが、
中公文庫が本屋で目立たない存在のためか、
あまり売れていなさそう。。
今回も魂の刑事・鳴沢が走りまくります。
恋の行方も気になります。
是非、1作目から読んで下さい

著書名 被匿―刑事・鳴沢了 (中公文庫)
著者名堂場 瞬一
出版社 中央公論新社
ASIN 4122048729
装丁 文庫
価格 ¥ 900

読後感想

概要:作品の魅力を引き継いだ渾身の8作目!
本文:前作『血烙』の中で、主人公鳴沢はNY市警での研修中に暴走してしまい、また大切なものを失って(失いかけて?)しまいます。

そんな彼を日本で待ち受けていたのは、またしても左遷。事件らしい事件もほとんど起こらずたるみきってしまった、西八王子署です。

鳴沢が赴任する前日に起こった代議士の変死事件に対し、所轄の刑事たちがあっさりと「事故」と断定してしまったことに対して、鳴沢は疑念を抱き、事故現場周辺の聞き込みを開始します。そこで浮かび上がってくる、村社会を牛耳る政治家とそれを支援する地元の有力者(お金持ち)といった、これまで鳴沢を幾度となく苦しめてきた閉鎖的な社会が立ちはだかります。

このあたりの胸糞の悪さと鳴沢の暴走、今まで読んできた読者には非常に興奮しながらラストまでページをめくれると思います。

そしてもう一つの鳴沢シリーズの見所ともいえる魅力的な相棒、藤田の存在です。彼は鳴沢をよく理解してくれる非常に魅力的な相棒です。また、彼の過去が本人の口から語られるのですが、それがまだ全貌を明かしてないところからも彼がまた、次回作以降で鳴沢と絡んでくると思うと次を読むのが楽しみでもあります。

いくつもの悲惨な事件を通して鳴沢が得たものは「傷」だけではない、ということをこの作品からはひしひしと感じ、また、前作までの魅力的な舞台(特異な社会と魅力的な相棒)を見事に引き継いでいるので、やはりいい作品だと思いました!

この作品はもちろん単体で呼んでも事件自体が非常に奥の深い話なので魅力的ですが、是非とも鳴沢シリーズの8作目として読むことをオススメしたい作品です。

概要:ちょっと落ちてきたかな
本文:辛口の星3つ。
今回は、かなり早い段階で、勘のいい読者なら話が読めてしまう。
その時点で読むのをやめてもいいのだが、
それを何とかつなぎとめているのが、
相棒藤田の存在。
今ほどの魅力はないが、そこそこ魅力的である。
私は、このシリーズを鳴沢の恋愛物語として読んでいるが、
今回は、恋愛話はない。
それも減点対象となった。
小野寺・今たちの復活を望む。
特に、恋愛対象は私の好きな小野寺にならんかなぁ。


シリーズのうちの一冊として読むのはいいが、
この本単体で読むのは避けたほうがいい。

このシリーズ、売れてるわりにレビューが少ないのは
どうしてだろう。

概要:面白かった
本文:前回はアメリカ編で読みにくさがあったりしたのですが
今回は日本に戻って、

たるみきった部署に配置されたら、
赴任前日に地元代議士が橋の上から転落死していた。
その死を簡単に事故死として処理した事に疑問を持ち
独自で調べ出していく。

そこに色んな人が関わって展開が続くのですが、

話の展開が飽きさせず、次へ次へと読みたくなっていった。
鳴沢サンは相変わらずだけど、少しだけ丸くなったのかな。
最後は、ああそうか…という切なさが残るけれど、人はまた立ち上がっていけるという気持ちにもさせてくれて良かった。

強いて言えば、今回コンビを組む相手が
鳴沢サンに好意的でいいコンビあったので、最後までそういう雰囲気をもう少し貫いても良かったかな、と。

もうすこし固定された好脇役の存在があっても面白いかなぁとも思う。
次回も楽しみ。




著書名 久遠〈下〉―刑事・鳴沢了 (中公文庫)
著者名堂場 瞬一
出版社 中央公論新社
ASIN 4122050871
装丁 文庫
価格 ¥ 800

読後感想

概要:決してうまく収めたとはいえないけれど
本文: