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医療

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著書名 医療の限界 (新潮新書)
著者名小松 秀樹
出版社 新潮社
ASIN 4106102188
装丁 新書
価格 ¥ 735

読後感想

概要:医療が直面する壁
本文: 「医療崩壊」の著者による新書。
 大病院の部長という重責を担いながら、講演活動や執筆活動に取り組む著者の主張が前作に比べて解りやすく書かれている。その論調は医療をとりまく、患者意識や報道、死生観に焦点が絞られており、社会論のような様相を呈している。
 医療崩壊の要因は既に多数論じられているが、その大元として、著者は患者と医療の齟齬を上げている。これをなるべく少なくするために、もしくはその齟齬を明らかにするために、国民的議論を提唱している。

 主観的感想だが、医療が直面している壁、医師不足、患者意識(消費者意識への変質か?)の変化や報道の無責任などは、医療のみならず、日本社会が抱える行き詰まりそのものであると思える。医療崩壊は国民の生死を分かつ重大問題なのに、社会が対応できない。社会が機能不全に陥っている現状をまざまざと見せ付けていると思える。
 医療崩壊を画期として「報道の責任」や「患者の倫理」が認識され、医療に対して、医療従事者とともに報道や患者・国民の社会的責任が立ち上がってくることになればこれほど素晴らしいことはないのだが・・・。

 楽観的すぎる感想を述べましたが、医療問題に留まらない内容を含んだ著書です。

概要:医師サイドからの反撃
本文:医療事故についての、医師側から見た意見が書かれているとみていいだろう。


本書で強調されているのは、医療というものが完璧に安全で、必ず死から救ってくれるものだというのが幻想だということだ。
医療というのは性質上、患者の体を傷つけるのだから、必ず危険があるのだ。

そこを無理に完璧な安全を求めるから、やむを得ないような結果まで、患者が死んでしまったならば過失致死に問われたりしてしまう。
そんなことをやっていたら、医師になるものは誰もいなくなってしまう。
今の司法で起きているのは、国民の単純な感情への迎合である。

今の医療の体制にも大きな問題はある。
医師の教育などには特に改善されるべき点がたくさんある。

だから今の医療崩壊をなくすために必要な組織改革と法改正と国民の認識の転換が急務である。


我々の持つ「医療への過度の期待」が大きな問題をはらんでいることがはっきりと見えてくる。
メディアではあまり取り上げられない医師の声は貴重だ。

ただし、ところどころ医師の側に偏りすぎではないかという意見も見られる。

あと、名前を借りるためでしかないような、あまり意味のない引用もやめた方が良かったような気がする。

しかし、医療問題を考える上でコンパクトにまとまっている本であることは間違いない。

概要:医療と人生について考えさせる良書
本文:『医療崩壊』には及ばないが、今の日本の医療が抱える深刻な問題を分かりやすく論じた良書だと思う。特に本書は、「医療の限界」、つまり、「人は必ず死ぬ」「医療は不確実だ」ということに焦点を当てており、読者に自分を振り返ることを促す内容になっている。

10年ほど前、近藤誠医師の『患者よ、がんと闘うな』を読んで、「よく生きるためには、死を受け入れなければならない」ということを痛感した。本書は、日本人の死に対する心構えのなさが、いかに医療をゆがめ、崩壊の危機を招いているかを、わかりやすく説いている。司法への批判も、的を射ている。

一般論として、ものを論ずるとき、各人が自分の立場を擁護するのは当然だ。それをタブー視したら、言論の自由は死んでしまう。本書は、医師によって書かれたにもかかわらず、よく客観性を保っている。医者や病院が治療の失敗をごまかすことは、過去にしばしばあったし、今でもあるだろう。著者はそれを認めつつ、解決策を提示している。批判は、具体的にするべきだ。「旧弊な医師はやめさせて、新しく民主的な医師を養成すればよい」というような案は、まともな頭の産物とは思えない。

今でも、患者の言うことになかなか耳を傾けない医者に不満を抱くことはあるが、近年、医者の患者に対する応対は、目立って良くなったと感じる。にもかかわらず、医者への攻撃は、かえって強まっているようだ。本書への論評を読むと、私には、多くの人が自分の一番痛いところを突かれていきり立っているように見える。

著者は、さまざまな本を引用、紹介していて、いずれも著者の思考過程をたどる上で興味深い。

最後に一言、割り箸事件の原告は、単に「医師の責任の有無」を争ったのではない。男児が死亡したことに対して9000万円近い賠償金を要求したのだから、医師に少しでも責任があれば、過失相殺が問題になるはずだ。


概要:残念ながら、前著から進歩無し・・・
本文:前著『医療崩壊』のマイナーアップデートです。
前著には★★★★をつけましたが、1年後に出版された本書には★★2つです。
理由は単純。「進歩が無い」からです。

幸運にも前著と本著の発行の間に著者の講演を直接聴く機会を得ました。
講演も踏まえて、本書を読むとよく分かったのですが、著者の考え方の根底には何やら、本当の「医療正義」とは無関係な何かが見え隠れします。

医療はあくまで、患者の生命・健康を守ることが、第一義です。
無論、それは患者(=病客)のあらゆる注文に応える事とは似て非なるものです。
患者の言うことなら、何でもカンでも聞けばいいものではありません。
ただ、そのことが患者や患者の家族が医療に「期待してはいけない」ということにはならないはずです。

事実、私自身、現場の医師達は、社会的に「いじめられた」から声を上げだしたのではないと思っています。
医療政策や医療を取り巻く風潮が、医療を歪め、その実害が正に「患者に」及ぶようになり、
医者個人の「努力」だけでは患者を守りきれなくなってしまった、責任を果たせなくなってしまった、からこそ医師達が発言しだしたのが実態です。

医療に必要とされているのは、第一に「患者を守る」システムであり、「医者の免責システム」ではないはずです。
そういう意味で「医者を責めれば、患者を守るシステムが構築できる」と勘違いしているマスコミや警察の発想は本末転倒です。
しかし「免責システム」があれば患者を守れるかと言えば、やはり答えはノーです。

東大を卒業し、虎の門病院にお勤めになっている著者は「医師免責システム」を構築し絶対に自分に火の粉がかからない環境を目指しているのでしょう。

医者を責めれば医療が良くなるとは思いません。しかし、医者が取るべき責任から逃げ出しても、医療は良くなりません。
講演会で飽くまで「免責システム」を主張する著者に、私は医者として違和感を覚えました。

概要:治療前に現実的リスクを知り、心構えする
本文: 医療=いかなる事態が治療中に起きても、その危機を回避でき、それができない場合は医療過誤として医療従事者が多大な責任を負う。
 司法・メディア(世論)・患者とも、これが常識として刷り込まれているが、医療従事者からすれば、毎回不確実な自体に備え対処し続けており、ミスでなくとも患者の期待する結果が得られぬ場合が往々にしてあるのが実際のところ。
 その不確実の結果を、現在のように医療従事者個人の責任とするのではなく、不確実因子を少しでも減らす為に、その原因をフィードバックしたシステムを構築し、犯人探しゲームはやめようとの主張に大いに賛同した。
 著者の勤める虎ノ門病院では、その方向で努力されており、情報公開、調査委員会、医療安全推進委員会、報告制度などにより担保されている。
 公的病院であるからこそできるのだろうが、医療費予算の分配を、このシステムや患者と医師が対立しない補償制度に費やすことなく、開業医に偏った現状のままであれば、「立ち去り型サボタージュ」は減らず、米のように医療は金持ちだけが受けられるもの、になるのではないかと危惧する。
 世論が誤った選択を続けないよう、広く読まれて欲しい本の一つだ。

著書名 医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か
著者名小松 秀樹
出版社 朝日新聞社
ASIN 4022501839
装丁 単行本
価格 ¥ 1,680

読後感想

概要:現場発の熱い意見
本文:2006年の発売とともに、話題になっていた本。やっと読むことができました。

今、ますます問題となっている医療現場の疲弊を、まさに現場の医師が
説得力を持って述べた本書は、歯切れのよい文体もあり、インパクトを
残す名著でした。

すべてに賛同するわけではないにしても、ともかく行間から立ちのぼる
「どうにかしなくては」という思いが伝わる、凄い本です。

筆者の主張をまとめると以下になります。

1)医療には限界があること

>医療には限界がある。しかし、多くの患者はこれを実感として
>理解していない。
>生命を守ることを医学の任務とするならば、医学は最終的に、
>100パーセント任務遂行に失敗する。
>現代医学には、身体で起こっていることを大まかに想像する程度の
>能力しかないからである。

>医療に大きなリスクが伴うことを社会に認知させたのが、1999年に
>アメリカで出版された米国医療の質委員会/医学研究所による
>「人は誰でも間違える」である。
>題名そのものが、事故が起きることは避けられない、事故そのものを
>冷静に分析して医療の安全をはかることが必要であると雄弁に提案した。

2)しかし、その限界を、患者や警察、法律家、ジャーナリストが
わかっておらず、医療への現実離れした厳しい要求が出るようになったこと

>患者のみならず、法律家やジャーナリストも安心・安全願望に支配
>されている。過度な安心・安全願望が満たされることはありえず
>不安と攻撃性をうむ。法律家やジャーナリストも患者側の一員として
>医療への攻撃に加担している。

>患者は疑心暗鬼で医療をみるようになってきた。
>医療の結果が本人の望んでいた通りでないと、
>とげとげしい反応が出てくるケースが明らかにみられるように
>なった。

ひいては、実体のない感情的な世論にそった無責任な記事をかいて、
医師を追いつめていることなども指摘されています。

3)その結果、医療現場の士気が低下し、ますます医療の質が低下していること

>こうした中、勤務医が、じっと我慢して患者のために頑張ることを
>放棄し始めた。
>日本の勤務医は、(中略)、自らの知識や技量に対する自負心と、
>病者に奉仕することで得られる満足感のために働いている。

筆者によれば、勤務医は理不尽さのなかで、声をあげるよりは
病院から立ち去ることを選ぶ、とのことでこれが本書のテーマにも
なっている「立ち去り型サボタージュ」ですが、そのために
産科など厳しい現場がますます人手不足で厳しくなり、人員配置
という構造からみても事故が起こりやすくなっていることを
指摘しています。

筆者は医療寄りなばかりでなく、日本の医療の密室性、封建制に
ついても批判しており、たとえば昭和大学の医療事故では、
「この事件の解明が、警察の関与があってはじめてなされたことを
残念に思う」と述べています。

印象に残ったのは、医師が、これほど患者の態度によって、
士気を喪失したり士気を高揚させたりする職業だということ。

よい医療を確保するために、患者として、あるいはそれぞれの
立場として何が出来るのかを、あくまで理性的に考えなくては
ならないのだと思いました。

概要:「医療と患者の齟齬」
本文: 「医療崩壊」が社会問題であることを決定付けた本。
 大病院の現役部長が執筆したことで、「現場から発言する医師」が台頭する契機ともなった。今更ながらレビューを書くのはためらわれる記念碑的著作であるが、今から「医療問題」を考える人は一読されることをお勧めします。入門書としてはアクが強いですが。
 
 本書の結論は「医療と患者の齟齬」を何とかしないと医療崩壊は止まらないということである。 医療問題をかじった者なら、つい、「医師を増やせ」、「診療報酬の引き上げを」と具体的な要求に走りがちであるが、著者はさらにそれらの政策を可能にする「世論」を形成するにはどうすれば良いかまで踏み込んで提起をしている。
 「医療と患者の齟齬」の原因についての推論も、報道や死生観などを踏まえて広角に論じられているが、著者の社会認識はかなり厳しく、展望も厳しく捉えている。正直、悲観的な気分になる印象もあるが、軽い希望よりはよほど、現実の役に立つ視点を与えてくれる。
 
 部分的には開業医をなみするような記述や、リーダーを求めるような記述は違和感も感じるが、それらを含めて極めて率直な本である。
 責任ある立場の医師が実名で語る覚悟の本であり、そういった部分も含めて一読の価値が間違いなくある、と思える。

概要:医療崩壊への解決策を提起した、熱のこもった名著
本文:「はしがき」によると、本書は「研究でも評論でもない。第三者的意見ではなく、現場の医師としての立場の意見である。危険な状況にある日本の医療を分析し、崩壊させないための対策を提案した」とある。そのように読まれるべきだ。

医療訴訟が多くの医師の士気を損ない「立ち去り型サボタージュ」を招いているという著者の指摘には、納得がいく。「日本全国で、勤務医が、楽で安全で収入の多い開業医にシフトし始めた。今、日本全国の病院で医師が不足している。小児救急は全国的に崩壊した。産科診療も崩壊が進行している。」 (p.158)

本書は、意見を述べる書、言い換えれば論争の書である。こうした本を読むには、まず、その論旨を把握しようとするのが、基本的な作法だろう。「言い訳しようとしているのではないか」「人を見下しているのではないか」「何か裏の意図があるのではないか」などということに気をとられながら読むと、全体として何が書いてあるかわからなくなる。それでは、何万冊読んでも得るものは少ないだろう。

著者は、医師の「情」が医療崩壊を招く大きな要因になっているということを、冷静に述べている。その「情」を述べた部分に触発される医師が多いとしても、「だからこの本に「理」をぶつけるのはほとんど不可能だ」としたら、読者が「理」をぶつけるためには、著者は自分が「理」と信ずることの一部を書かずに済まさねばならない。日頃、「情」に支配されていると、他人の言葉にも「情」しか見えなくなりがちだ。いきり立たずに、考えてみてほしい。

まともな読書もまともな言論もなかなか行われない、わびしい現状の中で、「言霊のくに日本の問題解決能力に期待して努力を続けたい」(はしがき) と述べる著者に敬意を表し、心から声援したい。


概要:全ての国民に向けた問題提起
本文:日本でも社会問題となりつつある医療崩壊について、臨床医の立場から問題点を整理し、行政的な解決策を提示した本。問題の社会的重大さに比して、現場をよく知る医師によって書かれたこうした本はまだまだ少ないだけに、日本の医療システム問題を考える上で貴重な書である。私は医療関係者ではないが、そうした一般の人々がこの問題の現状を理解するにもためになる本である。

本書は特に、医療ミスに対する医療関係者の刑事的・民事的責任が非常に大きくて曖昧であることを問題点として大きく取り上げている。こうした問題は、特定の分野において医療従事者を確保することを困難にしたり、関係者が萎縮することによって医療の質を下げる恐れが大きい。医療ミスの問題は、医療・警察・司法・行政の問題が絡み合っており、現行の法体系に基づく個別事例の裁判というミクロ的な方法では社会全体にとって望ましい基準が作られるとは期待できない、という著者の主張は説得力がある。

本書の後半では、病院と診療所の診療報酬の格差問題、イギリスの医療崩壊やスウェーデンの補償制度、大学・医局の問題、厚生労働省の問題にも触れており、医療システムの問題を俯瞰するために有用である。

本書は豊富なケーススタディーに支えられている反面、マクロ的なデータによる裏づけや、財政面を考慮した医療システム全体の資源配分の問題については十分な言及や分析はなされていないように感じた。診療報酬の問題に関しては筆者の日本医師会に対する遠慮も感じられる。しかし、本書はあくまで一臨床医による考察であり、こうした点は必ずしも本書の価値を下げるものではないだろう。


概要:医療現場に、絶滅したはずの「知識人」がいた
本文:これは、すごい名著で、大感動。
これほどの素晴らしい本が、ノンフィクション系の賞をなぜ取らないのかな。(いや、私が知らないだけで取っているのか?)

著者は現職の泌尿器科医だが・・。それとともに、社会に対して、自分の専門知識と、自分が蓄えた幅広くて見識高い学識を元に、自分の意見を強く主張していく、真の意味での「知識人」だ。(嫌味なく、ちらつかせる、文系的教養も素晴らしくかっこいい!) 

こんな立派すぎる「知識人」が、日本にまだ、いたとは・・。渡辺淳一とか、医者出身の作家たちは何してるんだよ。あんたらが、やるべき仕事だろう、こういうのは。「ボケちから」だかなんだか言ってる場合じゃないだろう。

この本の主張は、本来十分な予算を与えられていない医療の現場の人々が、「被害者に同情的すぎる」マスコミ、警察、検察などに、「本来、個人が責任を取ることはできない、システム的なミス、人員的に必然的に発生するミス」にまで、過大な責任を取らされ、刑事被告人にまでされていることに恐怖を感じ・・。

そういったリスクが高い、外科や産婦人科や小児科、総合病院の現場から、どんどん逃亡していっているというものだ。

彼らの逃げ場は、開業や、民間クリニックでの勤務だ。そして、彼らに逃げられて、ますます人員が少なくなった総合病院は、さらに運営が苦しくなるという、悪循環。
おそろしく説得力がある筆致であり、そしてこの国の医療の将来が恐ろしくなる。

医師等を攻撃する人々は、「過剰な安全幻想と不老不死願望」をもっているが、著者は「医療は、本来的に人体に侵入的なものであり、必ずリスクを持っている。そして人間は必ず、死ぬものだ」という。

この本は本来、検察官向けの意見書として書かれたという。

また、最後の章は「新聞記者などのジャーナリストたちは自分で考えておらず、空気のような『世論』しか書いていない」というジャーナリズム批判であり、編集担当の朝日新聞社の編集者と大議論となったという。
「編集者と対立した」という経緯を、そのまま著書に書けてしまう、著者の覚悟と迫力もすごい。

是非、著者の意見が、この国の医療の将来を変えるために、受け入れられてほしい。


著書名 誰が日本の医療を殺すのか―「医療崩壊」の知られざる真実 (新書y)
著者名本田 宏
出版社 洋泉社
ASIN 486248171X
装丁 新書
価格 ¥ 819

読後感想

概要:買いです。
本文:「日本の医療は、国民皆保険制度と、それを土台で支える医療スタッフの努力、そして患者さんの我慢によって世界一の座を確保してきたのである。」との言葉に著者の肝があります。医療や教育の問題をはじめ、日本における制度疲労に原因すると思われる諸問題は、対処療法ではもはや如何ともしがたいというのが、現場で関わる人たちの正直なところではないでしょうか。しかし、現場で患者や生徒を前に取れる(取るべき、ではなく)選択肢はだいたいにおいて非常に限られていて三すくみのようになることが多いのが現状です。

概要:意識変換のための本
本文:北欧の医療を高く評価しているが、なぜそこまで推奨するのかを説得する力が欠けていると思った。
あちらはかなり高額な税金を支払った上で成立している医療情勢です。
医療費がかからなくなるとか、医療は平等に受けられて当然とか言っても、アメリカ的思想が染み付いているうえに、経済的にも精神的にもくたびれている今の日本国民はすんなりと納得してはくれないでしょう。
あちら側に近づこうとする重要性をもっとうったえ掛ける論理展開をして欲しかったです。

ただ、医師・看護師をはじめとした医療従事者の絶対的不足、余計な仕事が増えたことの指摘、みんなが支払っている医療費の使われ方のおかしさなどを論じてくれたのは高評価。
これを正さなければ日本の医療に未来はないんですから。
この本を読んでより多くの人が医療に関心を持ち、やがては社会を動かす力になってくれたらと願うばかりです。

概要:医療の現況・背景を知る啓蒙書として
本文:日本の医療崩壊の真犯人として「厚生省」を槍玉に挙げる人は多い。
特に、医師・医療従事者にはその傾向が濃厚である。(それ自体嘆かわしいが・・・)
確かに国家の根幹たる「医療」「福祉」の政策をミスリードしてきた罪は重いが、
官僚だけが国賊だったのだろうか?
中医協もしかり、医療政策機構もしかり、武見亡き後「医療政策」の背後で暗躍してきたのは、
製薬業界であり、医療機器業界であり、さらに言えば、政治的に発言力を強めてきた財界そのものである。
(むしろ、彼らの政治的努力には見習うべき要素もある。)

しかし、私はコミュニストではないが、「資本」の自由意志に政治の理念まで売り払ってしまったのでは、
国家経営は成り立たない。
天下りや口利きの甘言に欲望を委ねてきた官僚の失われた「理念」や「志し」という精神論を
無視するわけにはいかないが、では、医師や医療従事者は政治的努力をしてきたと言えるのだろうか?

医師・医療従事者が目の前の患者さんや臨床に心血を注いできた歴史は誰も否定しない。
(三流のマスコミ・ジャーナリストが訳知り顔で否定していることが腹立たしいが・・・)
しかし、気が付いてみたら、いつの間にか医療は国家予算の「お荷物」のレッテルを貼られてしまっていたのである。

「データが古い」等と揚げ足を取る向きは、さしずめ「新興福祉産業」(グッ○○ィル?)あたりの
人物だろうと勘ぐりたくなるが、医療が崩れた経過をレトロスペクティブに把握する上ではどうでも良いことである。

なぜ医療が崩壊しつつあるのか、なぜ医師が不足しているのか、分かりません、という無邪気な国民にとっては、必読の書とも言えよう。

著者はNPO法人「医療制度研究会」を率いており、物言う外科医としてご活躍されている。
医療へのさらなる提言を願い、心からエールを送りたい。

概要:医療への認識を新たにしました。
本文:一気に読みました。この本には、それだけの力があります。現役の外科医が日本の医療が抱える問題をずばりと、解説してくれます。

僕も、看護師の大変さには共感していましたが、医者は高給取りだしえらそうだし…みたいな偏見を持っていました。確かに、著者も医者の中に一種のスノビズムが存在することを認めてはいますが…日本の医療の現場がここまで悲惨な状況であるとは知りませんでした。

医療報酬は世界標準に比べて低く、患者の医療費負担は最も高く、医師や看護師の一人あたりの患者数は異常に多い。この不埒なまでの現状に怒髪天を衝く思いでした。

道路特定財源の一般財源化が決まりましたが、ぜひとも医療費へ多額の配分をして下さるように望みます。

僕自身、国家公務員のお肉系部門で働いていましたので、当直勤務あけのつらさはよくわかります。当直勤務明けの医師が引き続き勤務し、手術まで行っているのは同情する前に恐怖を感じましたね。とてもそんな精神状態でも肉体的な健全さもあるはずがないですから。

医療費亡国論も根拠のない暴論だと言うことが分かりました。しかし、自分が同じ目にあわない限り真剣には考えられないというのは、人間の悲しい宿命ですね。拉致問題しかり年金問題しかり、医療問題しかりです。たった180日で顕著な回復の見込めない者には、医療保険の適用が打ち切られるというのにはビックリしました。いかに自分が無関心であったか。

JRの事故にしてもそうですが、大きな神経的なダメージを負われた方というのは、根気よくそれこそ何年ものリハビリを通じて、わずかずつの回復を成し遂げてらっしゃいます。たかが半年で回復できるなら、リハビリなんて必要のないレベルの人しか救われないって事になります。こんな恐ろしいというかおぞましいことを、日本政府はしているのですね。

公共投資が雇用の創出につながるとか言うのなら、そのケインズ主義を医療業界に振り向けて欲しい。ハローワークには、看護師の求人が何ヶ月前の分からずらっとならんでいます。多くの人が建設業界から医療業界に移り、人手が足りるようになれば医療事故も減っていくことでしょう。ぜひ、一読して欲しい一冊です。

概要:医療費亡国論こそ亡国論
本文:「医者を増やせば医療費が増える。医療費を削減するためには医者を減らせば良い。
医療費をはじめとする社会福祉費はほっとけば増大して国を滅ぼす。」
時の保険局長の吉村仁氏の医療費亡国論がその後の厚生行政を支配し、その結果医者の数は確実に減り医療崩壊が起きた。厚生官僚の一つの判断の誤りが一国の医療を破壊する恐ろしさ。その誤りを後から指摘是正できない官僚組織。
対して道路をはじめとする公共事業費は他国と比し突出して多い。当然、公共事業費を医療に回せば良いのではないか。
色々のと考えさせられる本である。
多忙な勤務医であるにもかかわらず、これだけの本を書くとは驚きである。尊敬に値する。医療問題に関心のある全ての人にお勧めである。

著書名 <業界の最新常識> よくわかる医療業界 (業界の最新常識)
著者名川越 満, 布施 泰男,
出版社 日本実業出版社
ASIN 453404044X
装丁 単行本
価格 ¥ 1,365

読後感想

概要:入門書としての価値は高い
本文:ほんとうに片隅だと思いますが、医療業界で仕事をしている身として、振り返ってみると病院、あるいはそれを取り巻く環境をあまりにも知らなさすぎると思い、入門書の意味合いで購入。案の定自分の無恥さを改めて知りました。医療業界を取り巻く、流行りの言葉、基本となる業界が詳しく記載されている。MRとかまったく存在意識したことなかったなぁ。また最近の政府の動向も改めてイメージがつかめた気がします。客観的に見た、IT化、電子カルテ化のメリットも見直せた気がする。入門書としては最適だと思います。病院の方々と接する機会のある人は是非一読しておくべきだと思います。

概要:網羅性は評価できる
本文:医療をとりまく様々な情報・知識を幅広くとりあげてくれている。たしかに医療の矛盾については語られていないかもしれないが、医療業界とは何かを勉強し始めた入門者にとっては参考になる記述が随所に盛り込まれています。医療現場で働いているのか、医療制度の問題に取り組むのかでは、まったく思考スタイルが違うので一概にこの本がいい悪いは評価できないと思います。

概要:丁寧に作られているが、真実に迫ってはいない
本文:本書は医療業界を浅く広く解説している。また、丁寧に作られた本だとも思う。

大雑把に医療業界を把握するには適しているが、業界にいる人にとっては少々物足りないのではないかと思う。

ほとんどがオモテの話でウラの話にはほとんど言及されていない。

ウラの話とは何か?

一例をあげれば矛盾だらけで不自然極まりない医療行政の問題がある。
現在、医療業界を牛耳っているのは厚生労働省であることは疑いようもない事実だが、彼らについての記述はきれいごとで終始している。もう少し本音を書いても良かったのではないか?

現在厚生労働省が強引に行っている、1)院外処方の推進(年間3兆円以上の医療費増加を伴う)と2)ジェネリック医薬品の推進(医療費抑制を大義名分としている)という二つの矛盾する政策の真の理由については多少ぼかしてでも良いから書くべきではなかったか?

この二つの矛盾する政策はの本質は医療業界の二つの新興勢力、すなはち1)調剤薬局業界と2)ジェネリック医薬品業界に対するあからさまな利益誘導的な政策だということは多くの医療業界の人間が感じていることだ。

これらの矛盾した政策により厚生労働省の人達はすでにメリット(天下りなど)を受け始めているし、国民はデメリットを強いられている。

ただこの本について言えば、著者はいわゆる医療コンサルタントといわれる人達なので、このあたりの内容が限界なのかもしれないとは思う。

概要:業界人でもここまでは知らない
本文:私自身17年も医療業界に特化して関わってきたにも関わらず、今回の本を読んで知らない事の方が多いのには参りました。
あいまいに知っているという事と知って理解しているのとではビジネスにおいては天と地ぐらいの差があります。
この日本でも最も参入しにくいと言われている医療業界には金の卵が眠っています。これを掴み取るきっかけになる本だと思います。はっきり言ってあまり他の業界の人に読ませたくないですね。


著書名 貧乏人は医者にかかるな!―医師不足が招く医療崩壊 (集英社新書)
著者名永田 宏
出版社 集英社
ASIN 4087204138
装丁 新書
価格 ¥ 693

読後感想

概要:問題の理解に役立つ
本文:医療の問題を理解したくて読みました。
医師不足の問題と原因が書かれていて参考になりました。
「今後こんなふうに問題は悪化するだろう」といった文が随所に
ある反面、「じゃあ、これからどうすればいいのか?」といった
側面が弱いかな。ただ問題を理解するにはいいと思います。
ただ、この手の本は、いろんな本を読み比べないといけないかなーと思う。

概要:医者が余っているなんて嘘です。
本文:

 人口あたりの医者の数で日本は先進国ではありません。国家は国民の
健康をはじめとする、安心と食をはじめとする安全を供給、保証することが
国の責務だと思います。
 病気になって辛いときに安心して、いつでも病院に罹る事ができて、経済
的にも保険で標準の医療を受けられるはずでした。
 しかし、最近の報道を見ていると、小児科、産婦人科など、国の将来を
左右する病院が医者不足になっているとされています。
 なぜ、医者が不足しているのか、今、日本の医療は何が問題か提案して
いる本です。

概要:医師不足は一体誰が招いたのか?
本文:根源的命題に「医療費は抑制すべきか?」という問いがある。
病気は予防第一であり、早期発見・治療が医療費を低減する一方で、
不幸にも病気やケガに見舞われた時の充分な診療、手厚い看護は誰もが望むところである。
予防医学を敷延し医療費を抑制しようとする政策の一方で、疾病に対し充分な医療費を投じ
国民の生命を守ろうとする政策は「医療費」の観点から一見、矛盾しているようで、
本来は両立すべき医療政策である。

「予防」と「治療」への政策認識を混同して(させて)、「医療亡国論」を振りかざしてきたのは、
他ならぬ厚生省であり、その失政を責める声を医療現場で聞かない日がない。
政治の誤謬を激しく責め立てるのは、昨今のマスコミの得意分野だが、
その大衆迎合的な尻馬に乗って厚労省をこき下ろす医療者は多い。
確かにA級戦犯は厚労省かも知れないが、本当に彼らだけに責任があったのか?

高度経済成長やバブルに国家を挙げて心酔していた日本人は、
果たして本当の高齢化社会の到来を洞察していたのか?
人口構成を見るとベビーブーマーが高齢化すれば、社会保障費が高騰するのは中高生でも想像がつく。
私自身20年来「医師数が増えて何の問題があるのか?」と周囲に問うてきたが深刻に回答する医療者は皆無だった。
医療が崩壊し始めてから医学部の定員を増やしても、彼らが一人前になるのは10年先のことだ。
日本はこの先長い「医療砂漠」をあえぎながら歩き続けねばならない。

「医師不足」を軸に医療崩壊の真相と医療失政を追及する著者は医師ではない。
公平な視点と冷静なデータ解釈に基づく論理は、現場を熟知しながら
医療を客観視できる著者ならではの説得力があり、秀逸である。

難点を言えば、第4章の虫垂炎の記述に誤解がある。
誤診率が15%というのはCTや超音波の普及率の高い日本には当てはまらない。
他項が精確なだけにもう少し緻密な検討ができなかったのかと惜しまれる。

概要:医療崩壊の足音を正確に聞き取るための一冊
本文: 本書は、国の医療政策に翻弄され運命を変えられた、医療情報研究研究者による医師不足時代の原因分析と為しえる対策の提示の書である。
 本書の概要を意訳すれば以下になる。
 医者が増えると患者が増える、すると医療にかかるお金が増える。国家財政からの持ち出しが増える。それは拙い。そうだ医学部の定員を減らせば、医療にかかるお金が減らせる。日本の財務官僚の頭が良いのか悪いのか。
 映画の赤ひげ、白い巨頭の財前教授、手塚治虫のブラック・ジャック。こんな医者は物語には必要であっても、街には必用ではない。通院できる地域に、並みの腕を持ち、街に暮らす医師が必要なのである。そして、大きな街にはより専門的な医師がいることが。
 しかし、もうそんな世界には戻れない。医師を育てるには時間がかかる。少子化で子供も少ない。少ない子供から医師にばかり人は回せない。
 医科医師の不足による医療崩壊、歯科医師の過剰による歯科医療経済の困窮、計画経済は不能にしてももう少し早く政策転換を行うことは可能だったと思われる。
 医療崩壊の足音を正確に聞き取るための一冊です。

概要:貧乏人は医者にかかれない!
本文:医療には金がかかる。金をかけないためには医者を減らせば良い。
厚労省は意図的に医者の数を削減してきた。その成果は上がり、先進国の中では医者の数が少ない国の一つになった。
他の医者の少ない国と同様、医療崩壊の国となった。
現在の日本の医療崩壊の原因を医者の数を中心に解説した本である。
貧乏人は医者にかかるなではなく、かかれない時代の到来がすぐそこまで来ている。
読んでいて背筋が寒くなる内容である。
しかし、このような体制を誰が望んだのであろうか?
現在の医療制度を考える上では必読の書と言えよう。

著書名 ベーシック 医療問題 (日経文庫)
著者名池上 直己
出版社 日本経済新聞社
ASIN 4532118107
装丁 単行本
価格 ¥ 1,050

読後感想

概要:問題点が分かりやすく整理されている
本文:医療政策の第一人者、慶応大学の池上直己教授が医療問題について
まとめた第3版(2006年度改革対応)です。池上先生の論文は
非常に難しいのですが、本書はとてもわかりやすくまとめられています。

日本の医療問題をざっくり知りたい方にはオススメです。


概要:今回の改正の冷静な分析
本文:落ち着いた語り口で、感情的にならず、複雑な今度の医療制度改革のからくりを明らかにしている。今回の複雑な改正の全体像は、この本だけではわからないが、この改革の詭弁を理解するには大変いい。また医療従事者が読んでも将来像が見えない改革であるだけに、この法案がどれだけ現実味をもって討論されたのか、疑問に思う。医療問題に対する著者独自の解決策も提案している。医療は、生活上の基本的に維持しなければいけない物のはずが、サービス業という言葉に踊らされて、対価を払う物というロジックで改革が進められていることの危うさと、年金と同様に、金額の規制にだけ目がいっているあやまった改革方向が理解できる。あまりに淡々としているので4としたが、これだけ腹が立つ物を、これだけ冷静に書けることは素晴らしい。よりグローバルには”改革のための医療経済学”をすすめる。今回の改正が如何に表層的か、理論的に理解できる。

著書名 数字でみるニッポンの医療 (講談社現代新書)
著者名読売新聞医療情報部
出版社 講談社
ASIN 4062879670
装丁 新書
価格 ¥ 756

読後感想

概要:全国民必読! 日本の医療の現状と問題点を数字を使ってわかりやすく解説してくれている。
本文:
 医師不足やメタボ健診など、医療をめぐる話題は日頃、事欠かないが、国民皆保険制度を持つ我が国では、国民全体で財源をきちんと負担せずして、医療の質は確保できない。

 しかし、やみくもに負担を求められても納得できない。医療には一体どのくらいの費用がかかっているのだろうか。
 本書は、そのような視点から、医療に関するデータをコンパクトに紹介している。
 長寿医療制度を止めよと言うのは簡単だが、高齢者が亡くなる直前1か月には、1人約100万円の医療費が必要で、高齢者医療費増大の一因になっている。人をどうするのかと、費用をどうするかのかという難しい問題がそこにはある。

1台十数億円のCTは世界の3分の1が日本にあるとか、タミフルは世界の7割が日本で使われているとか、意外と知らない医療の実態もわかる。限りある財源や人材の中でやりくりする今の医療をどうするか、考えさせられる本だ。一人でも多くの日本人に自分の問題として考えてもらいたい。


概要:日本の医療の問題点が明確になっています。
本文:

 病院に入院するってことは、お金がすべてということです。
 「貧乏人は死ぬしか無い」って言葉がありますが、入院したときにもし、健康
保険に入っていなければ実費で幾ら払わなくてはならないのかがいやになる
くらい理解できます。
 しかし、健康保険に入っていても、差額ベット代が払えないと十分な医療が
受けることが出来ない実態が伝わってきます。
 ひどい病院になると、本来患者に請求できない経費まで請求されることにな
ります。
・シーツ代
・冷暖房代
・手術で使用する糸
・車いす用の座布団の消毒代

等、本来は病院負担の経費まで請求される例があるそうです。
病院にかかる前に是非、読んでみてください。

概要:日本医療の問題点
本文:日本医療の様々なテーマについてデータを挙げ、日本医療の問題点をわかりやすく解説しており、非常に良かった。
しかし、読み終わって暗澹とした気持ちになった。

・人口約1億人に過ぎない日本に、世界全体の台数1/3ものCTがあり、無駄な検査で膨大な医療費が使われていること
・終末期医療が1カ月112万円、特にICUに15日以上入院して亡くなったヒトには平均1030万円もかかっていること
・・・などなど、数多くの問題点を本書で知った。
将来さらに平均寿命が伸び、高齢者がより長く医療を受けることになれば、
日本の財政は確実に崩壊してしまうだろう(というか、すでに崩壊しているのだろうか)。

現役世代の負担を考えるなら、高齢者に対する医療はそろそろ歯止めを掛けないといけないのであろうか。

著書名 医療立国論―崩壊する医療制度に歯止めをかける!
著者名大村 昭人
出版社 日刊工業新聞社
ASIN 4526058807
装丁 単行本
価格 ¥ 1,890

読後感想

概要:総論賛成、各論、、、う〜〜む、
本文: 現役医師(教授)の意見としては恐らく革新的な名著であると言えます。指摘も適切ですし、行政(厚生労働省)の矛盾も的を得ていると思います。そういう意味で総論は大いに賛成です。本著では、単なる問題提起だけに終わらずに改革案としての方針を示していますが、その部分においては、具体性は乏しく各論的には難しい部分も多いように思えます。やはり医療は国家の関与するところが大きいので、そこまで世論を喚起し、国を動かしていくことが必要だと思います。本著では医療と科学の融合を謳った部分も多いですが、現在介護ビジネスが崩壊寸前であることを考えると、もっと介護ロボットなどの開発普及に力を入れたり、遠隔医療(ロボット手術や監視・管理システムなど)の分野にもさらに普及が求められる分野ですから、縦割り行政の壁を無くして経済産業省と厚生労働省がタッグを組んで、日本的医療立国を目指して欲しいです。日本は、世界一高齢化が早い国です。その事実を逆手にとって、寧ろ高齢化社会で培われたノウハウや技術は、将来的には中国やその他の海外へも普及輸出できるものになるはずです。

概要:感情的にならない説得力のある議論
本文:現在の医療危機の起点から説き起こし、米国、英国、カナダの医療制度とも比較しながら、過去・現在・未来へと射程を伸ばし、「医療立国」として立つべき日本医療の姿を追究しています。大学病院のなかで働いてきた著者ですが、大学病院に関しても、先進諸国の医療制度に関しても、メリット・デメリット、長所短所ををきちんと押さえ、豊富な資料とともに冷静に議論を展開しています。医療問題を医師が論じると、どうしても医師寄りになり、わがままなのは患者、それを焚きつけるメディアの極悪、と自己弁護に走りやすい現在、著者のような論者は貴重だと思います。
患者が納得して読める本ですし、もちろん一般読者が読んで利するところ大の良心的な著作です。

概要:日本の医療の根本的な問題を明解に分析
本文:現在の日本の医療の根幹で、まとめて語られることのなかった部分が明解に分析されています。問題提起だけに終わることなく、将来への処方箋まで示されています。
昨今の医療不信の風潮の中で、医師が主張せずに萎縮医療に走ることが結局国民のためにならない、形式だけの欧米追随は日本の医療制度を崩壊させるとの主張は、米国で臨床医として医療に携わり、その後日本での医学教育にまで関わった立場での論調であり説得力があります。
医療にかかわらない人にも是非読んで貰いたい本です。

著書名 村上スキーム 地域医療再生の方程式
著者名村上 智彦
出版社 コア・アソシエイツ
ASIN 4902969793
装丁 単行本
価格 ¥ 1,575

読後感想

概要:個の利のみを求め、責任を負わない“子ども”の民主主義に、現場から棹差す言
本文: 必要を超えた欲望を要求した住民を叱り、破綻した夕張でプライマリーケア、在宅ターミナルケアを含めた地域医療と町づくりの高い理念を掲げて集った、村上医師とスタッフの情熱と、スタッフ同士がコーディネイトし合って結合する組織のあり方には賛同する。

 専門医でなく、ゼネラリストとしてのかかりつけ医(予防医)を増やす事での、医療費の削減を含む理想的な医療にも賛成だ。
 しかし、それをどう住民に浸透させ、具現化するのかについて知りたかった私としては、本書は物足りなかった。
 村上氏が(地域医療の完成形として)退屈した、越後湯沢の取り組みにもっと触れて欲しかった。
 聞き手が教育のNPO代表で医療は門外漢、村上氏は教育のプロではなく、これもミスマッチではなかったか?
 それらの点を減点した。
 

 経営を圧迫する老朽化した病院の補修費と5000万円にも及ぶ水道光熱費に対する市・道・国の支援が得られず、村上スキームは敗れるのか、それとも長野県泰阜村で、12年間無医村化を食い止め、前任の網野医師を引き継ぎ、在宅医療を進め医療費の抑制に貢献したにもかかわらず、「村民になれなかった」の言葉を残し来年3月に去ろうとしている佐々木医師のように、住民に追い出されてしまうのか。
 どちらにせよ、それは将来への苦い良薬を拒否する事であり、ウォンツを行き着く所迄増大させる舵取りだと住民が気付くかどうか、見守りたい。

概要:住民が地域を変える
本文:わかりやすい言葉で、ストレートに思いが伝わってくる。
現場で取り組み続けてきたからこそ、の言葉の重さ。
住民の意識・動きで、まちが変わる。地域を変える。
お任せ自治体のままでは、地域は変わらない。
まちをよくするのも悪くするのも、住民次第。
村上医師の活動に、勇気元気づけられる人たちも
多いと思う。
一読して、自分にできること、一つから
一緒に始めていこう。

概要:素晴らしい:地域医療再生&人の生き方のテキスト !!
本文: 今日,新たに2冊購入し、計10冊目です。健康・医療に関する仕事をしており志高い関係者にプレゼントし続けています。村上チームの覚悟、生き方、物事の見方等等、若い方々にも是非読んでほしい1冊です。明日は村上ドクターの講演に行きますが、本をプレゼントした仲間達が、何か応援しようと、集まっています。この活動の輪が夕張はもちろんのこと、他の地域にドンドン広がることを祈っていますし、祈るだけでなく、私達も行動します。医療問題や行政・自治に関する理論・理屈は「先生の数だけ」ありますが、村上ドクターのように「ガチンコ勝負」している人を私達は応援・支援しますし、その中には霞ヶ関の志ある方々もいます。たまたま今回は、夕張で起こっていることですが、この課題は、日本のどこでも、日本国でも起きうる問題です。みんなでこの本を読んで、応援し、繰り返すことのないように学びましょう。

概要:ウォンツとニーズ
本文:地方だけではなく、日本の医療が崩壊し始めている。
患者は弱者、医療は平等という錦の御旗のもとで、医療常識から遠く外れたウォンツが医師に求められ、そのために真のニーズが埋没していく医療現場。
教育者だった聞き手三井氏との会話に浮かび上がるモンスターたち。
あたりまえのように医師法を実践している村上氏と、前例を追うことしかできない役人たちの不毛な戦い。
そして彼らの戦いは次のステージへ。
地域医療という難しいテーマを構成する背景事情が一気に理解できる村上氏の単純明快な考え方にぜひ触れていただきたい。


概要:地域格差を嘆く前に。
本文:「行政が悪い」、「国が悪い」と文句を言う前に、僕らにはできることがある。やるべきこともある。地域社会は、そこに住まうすべての人たちの生活の蓄積だ。だからこそ、社会を変えるためには自分が変わる必要がある。「変える」ためではなく、「変わる」ための一歩を後押ししてくれる本。医療現場という視点から、地域再生のあり方を論ずる意欲的な一冊でもある。

著書名 医療崩壊はこうすれば防げる! (新書y)
著者名本田 宏
出版社 洋泉社
ASIN 4862482953
装丁 新書
価格 ¥ 798

読後感想

概要:切実な声
本文: 苦しい医療現場の切実な声が掲載されておりその大変さ、悔しさが伝わってきます。

 が、タイトルの「こうすれば防げる!」というような力強い打開策はなく、あくまで「提言」という形にとどまっています。

 また、それぞれ独立した論文という形になっているため各々の主張で説得力に欠け、ただただ苦しい現場の雰囲気が伝わってくるだけに終わってしまっています。例えるなら10分程度のニュースの特集のような短さで、せっかく書籍になったのですからもう少し詳細な情報がほしいところ。

 ともあれ医療現場の大変さはよく伝わりますので次に期待という意味で星3つとさせていただきました。

概要:そんなヒロシにだまされて
本文:「医療崩壊」ネタで颯爽とマスコミに登場した本田先生
現場の疲弊を訴える姿に、多くの勤務医は熱狂しました。
講演活動・政治運動を続けられ、主張が
「医師不足に対し医師養成数増員」へと変化し
勤務医の疲弊対策はどこかへ・・・
実は、本田ヒロシ先生は、生協病院、民医連などのいわくつき
団体の工作員で
医師養成数を倍増し、どんなひどい雇用労働条件でも使い捨てに
できる状況を目指していたのだ!
ということに現場の勤務医が気づいた時はあとの祭り
この本は医師ディスポ化工作員の運動の軌跡です

概要:現場医師からの医療再建策
本文: 本書の7章までが 現場医師による、各自の持ち場での医療実践と医療崩壊との戦いの記録であり、再建策となっている。
 厚生労働省が打ち出す政策の背景としての財務省の政策分析、霞ヶ関内の力学等の、政策分野からの論考には弱点を持っているが、それぞれの現場医師の実践記録としては十分に読み応えがある。
 編著者である本田宏による第8章「日本医療の生き証人の声を聞け!―厚労省への「遺言」 」は、高岡善人先生に対する聞き書きをしたスタイルではあるが、本田自身の意見と高岡の証言・意見の区分が一読では判然としない部分がある。
 また、歴史的事実・日本医療制度史を部分的に書き換えべき内容を含んでいるのだが、本田は他の関係史料・他の関係者の証言との照合等を何処までやって本書を送りだとしたのだろうか?
 貴重な「現場医師からの医療再建策」ではあるが、特に第3章「「絶滅危惧種」産科の崩壊を防ぐ現場からの提言」に見られる他の医療職種との連携や視点に弱点を感じる。
 ともあれ医療再建にためには、本書を踏まえてより幅の広い関係者の議論が必要と思われる。そのための貴重な一冊になることを願っている。